先程、わたしのおうちの近所の畑でタヌキを見た。
タヌキを見た!!
田舎ですけどね、タヌキがうろうろする程の界隈ではなかった筈なんだけどなぁ。
うろうろしていた。
もうすぐ春だよ。
食べ物もたくさんある春だよ。早く里へお帰りなさい、こんなとこにいちゃ危ない。
とは言っても食べ物を探してやって来たのだろう。野生に人様の情けなんぞ関係ない。
本日、日が暮れるまでごろごろしながら本を読んで、めんどくせえからこのまま寝ちまうか、など思っていたが、海外の大地震の津波警報がわたしの心を不謹慎にも揺り動かす。
海岸には近寄るなと。
近寄ろうか、と思う。
見たこともない馬鹿でかい波を見てやりたいとも思うがそんな日に限って、昨日見た景色や光や大事な人や繋がりが思い浮かぶ。
死場所を捜すようなライフはいやだねぇ。ダメだね。楽しくしなきゃダメよ。もっとたくさん笑わなきゃダメよ。会いたい人と、帰る場所と、行きたい場所がなきゃまるでダメダメよ。
津波が恐いので海岸線には近寄らなかった。
そうして死にかけの吸血鬼の様にレコードショップとTSUTAYAをはしごした。
天井桟敷の身毒丸サントラとJ.A.シーザーの紙ジャケを見つけて迷って迷った揚句、買い付けた。浅川マキさんの全集やアポジーのDVD付(YouTubeでビデオクリップを見たけど素晴らしい)も欲しいんだけどー、この見かけた事もない2点を我が家のコレクションに加えると決めた。
いつからか雨は降り始めておりまして、それは小さな小さな粒の霧雨のくせに結構降り注いでおりました。
フジファブリックの「若者のすべて」が流れておりました。
何故か、とある女性が庭に一本の金木犀を植えたいと言っていた事を思い出して、それがとても美しい事に思えた。
辿れば海外生まれの胴長で毛の長い愛玩動物を可愛がるより、その人には一本の木を庭に植えて育む事が100倍似合っている。
きっとその人は嵐の夜には、金木犀の事が心配になっちゃうだろうなぁ。金木犀の花咲く季節になったら、その香に感謝するんだろうなぁ。そうして何年も過ごすのだろう。
その時フロントガラスには細かな雨が降り注いで、わたしは雨に滲んだテールランプを眺めておりました。
なんでそんな事を思い出していたのかわかりません。
ただのテールランプがフロントガラスに滲んだ。
それが美しかったからかもしれません。
きらきらきらきらとそれが美しい事と人の美しさが重なったのかもしれません。
まぁ、戯言と思って読み飛ばして下さいまし。
まる。